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母の急な変化 [母・家族のこと]


気分の落ち込みが激しくなり、対応が難しかった母。
すっかり足腰も弱り、杖なしでは歩けなくなったので家事を
手伝いに行くと申し出ても汚い家を見られたくないと固辞されて
いた。

それが先週急に、鬱がひどくつらい、かかりつけの病院の診察に
同行してほしいとSOSの電話。
これまでにも2度ほど同行したことがある。

ここのところますます気分の落ち込みと、腰の痛みの訴えが強く
なってきていたが、母から同行してほしいと言ってくるとは
思ってなかった。

正月以来、久しぶりに会った母はすっかり変わっていた。
「こっちの手を取って歩いて。」
数十年ぶり、いやたぶん子供の頃以来ぶりに母の手を取った。

介添えがなければ歩けないぐらい弱っていた。

診察中、私は何も言わなかった。先生に聞きたいことは山ほど
あった。でも、聞かなかった。
先生は少し気分が落ち着く薬をいつもの眠剤に加えて出して
くれたけど、これも効かないんだろう、とその時点ですでに
私は思っていた。
それでも母が望むならこの流れにつきあわなくてはならない。

診察を終えて実家までの帰り道、母はタクシーに乗り込むのにも
難儀した。

驚くべき変化・・・悪いほうに。

ほぼ一人では歩けなかった。

ものすごい動揺した。ショックだった。

家の中は当然、雑然としていた。
風呂も洗面所もシンクも汚れが目立つ。でもこの体では掃除
なんかとうてい無理だ。玄関がすえた匂い・・・初めてだった。
何かが壊れかかっているのがわかった。

平静を装い、母に頼まれたパンや夕飯用の総菜などの簡単な買い物
と、玄関先の荷物を運び、米を研いで炊飯器にセットし、シンク
に溜まった皿を洗い、猫におやつをあげて、そして・・・話をした。

今まで断片的にしか聞けてなかった大事なこと・・・
母は珍しく何もはぐらかすことなく話した。いつもはなんだ
かんだ肝心なことは言わないのに。
そういうのを聞かされないまま母の記憶がなくなってしまったら
どうしようと思ってきたから、少しほっとすると同時に
もうエンディングが近いと本人も思い始めているのだと思うと
胸がぎゅっとつかまれる思いだった。

とりあえずトイレに行きやすいように母の寝室を1階に移そう
と提案した。片づけて電動ベッドを入れようと。
そして掃除もやる、もっとまめに来ると話した。
きょうだいたちにもそれぞれ協力を求めると話した。

母はただただ、腰が痛くて痛み止めを飲んでも注射を打っても
ごくわずかな時間しか効かず、夜がつらい、朝起き上がりが
つらい、と泣き言ばかりで、とにかく家で何もできないのが
ストレスでさらにイライラが溜まっている、と。

つらい、つらい、つらい・・・ただそれのみ・・・

かわいそうだが、何もしてあげられない。
その日行ったのは内科だったが同じ病院の整形外科にも通って
おり、腰椎変形はわかっているが、高齢のため手術も医師は
勧めず、ただただ痛み止めとリハビリで改善をめざすしかない
という診断のようだ。もちろんほかの病院にも通ったことが
あるが改善はなく、鍼も試したが、今はそこに通うことすらも
難しい・・・つまりは・・・打つ手なし。

同居家族が一人いるので、とりあえず夜は一人ではないが
家族も昼間は働いているし、そもそも腰痛は誰にも止められない。
同居家族もずっとネガティブなことしか言わない母にまいって
いる・・・そして母もそれがわかっているからなおさら鬱に
なる・・・その悪循環。

家に帰り、ショックと疲れと、どうしようもない感情と
母がかわいそうという思いと、でも何を言ってもしても
落ち着かせてあげられないというむなしさと・・・
いろんな気持ちが入り混じってつらかった。

その日からわずか3日しか経ってないが、もうすでに何回か
メールと電話で母とやりとりをしている。
母はもう・・・施設に入りたいと・・・
毎日泣いてますと・・・。

急展開に私は再びショックを受ける。

わたしたちはずっと母のつらいとかしんどいとか、ここ
数年気持ちの落ち込みを訴えられてきたので、それをまともに
取り合うことができなかった。

本気なんだ、ほんとにつらいんだと思った。

母の望みをすぐ叶えてあげることは難しいが、いずれにしても何らか
の介護は必要だ・・・介護を受けるとそのままどんどん悪くなる気が
して一度はどうかと思ったが、母が望むことをしてあげようと思い返し、
具体的に打てる策を考えることにした。母がそうしたいと言うから。

何年も前から会えば喧嘩ばかりですっかり性格が変わってしまった母。

でももしかしたら話せる時間も、残り少ないのだろうか。

そう思うと心がざわついて落ち着かなくなる。

母の急変で、いきなり介護が目の前にやってきた。

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